The Remains of Runners ~走者の追憶~

陸上競技の海外記事を中心に執筆します。

キム・コリンズ (Kim Collins)⑤

キム・コリンズ (Kim Collins) シリーズもいよいよ終盤です。

 

前回はナショナルチームへの復帰と2015年のシーズンを追ってきました。今回はリオデジャネイロ五輪が開催された2016年以降のシーズンを見ていきましょう。

 

過去の記事はこちらです↓

キム・コリンズ (Kim Collins)① - 走者の記憶~The Reminds of Runners~

キム・コリンズ (Kim Collins)② - 走者の記憶~The Reminds of Runners~

キム・コリンズ (Kim Collins)③ - 走者の記憶~The Reminds of Runners~

キム・コリンズ (Kim Collins)④ - 走者の記憶~The Reminds of Runners~

 

目次

1.2016年

2.2017年

3.まとめ

 

1.2016年

2015年に続き、2016年のコリンズも衰え知らずの活躍を見せます。特筆すべきは、100mで40歳にしてナショナルレコードの9.93(+1.9)を叩き出したことです。

 

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タイムにも出ているように、後半30mのキレのある走りは完全にトップスプリンターの動きです

 

これは、2つの意味で驚異的な記録だと思います。1つには、40歳以上の選手が出した初の9秒台であること。もう一つが40歳にしてスプリント種目で自己ベストを更新したことです。

 

100mや200mなどを専門とする選手は概して20歳台の前半から後半にかけてピークを迎えます。中には、高校時代が生涯ベストという選手も少なくありません。個人的な見解ですが、若いころに苛烈なトレーニングを行うトップ選手ほど、20歳台でその絶頂期に至るように思います。

 

過去の記事でも見てきたように、コリンズは20年以上も前から世界の第一線で競技をしてきました。そのような選手が、40歳を過ぎてなお自己記録を更新することは極めて稀なケースと言えます。トップ選手だけではなく、一般の選手ですらこれは例外ではありません。

 

kfor.com

 (2018年10月19日アクセス)

 

I’ve been trying to retire for the longest while, but each time I think about that I keep running faster — and you think that the best is yet to come,” Collins told CNN.

“I felt good and confident. (中略)"

“I’m looking forward to getting it right many more times.”

 

「長い間、引退の二文字は頭にあったよ。でも、その度に「これ以上速く走ることは本当に不可能なのか?」と自問自答してきた。ーそして、まだ私の全盛期は来ていないと感じたんだ。」コリンズはこう語った。

「気分も優れているし、自信もある。(中略)」

「私はまだまだやれる。それをこれからも、何度でも証明し続けたい。」

 

また、コリンズは息の長い選手生活について次のように答えています。

 

When asked about the secret to his longevity, Collins told CNN: “If there was a secret, I wouldn’t tell it. I would sell it.”

The secret — if there is one — seems to lie in his motto: “You just keep going and going and definitely you’re going to go until your body cannot go anymore.”

And that’s exactly what he’s going to do.

 

CNNのインタビューにて、長く一線で競技できる秘訣を尋ねると、コリンズはこう言った。「もしも何か特別な秘訣があったとしても、絶対に話さないよ。売るのなら良いけどね。」

秘密ーもしそのようなものがあるとしたらーそれはコリンズのモットーに表れているのかもしれない。

「本当に、絶対に、自分の体が限界だと音を上げるまで、挑戦し続けるんだ。」

これはまさに、彼がやろうとしていることだろう。

 

陸上競技はとても繊細なスポーツです。本人が持つ素質に加えて、コーチや練習環境など無数の要素が絡み合って一人の選手が生まれます。

 

もしかしたら、コリンズ本人も40歳を過ぎてもなお走れる理由が分からないもかもしれません。

 

ーーーーー

 

9.93という一線級のタイムを出したコリンズは、もちろんリオデジャネイロ五輪にも出場を果たしました。

 

結果は惜しくも準決勝で敗退。記録は10.12(+0.2)。おそらく、これが最後のオリンピックの100mでしょう。しかし、もしかしたら2020年の東京五輪も・・・そんな期待を抱かずにはいられません。

 

リオデジャネイロ五輪、男子100m準決勝第2組。3レーンを走る。↓

Usain Bolt wins 100m semi-final Rio 2016 Olympics (9.86) - YouTube

 

YOUTUBEにはシーズン初めから室内競技会に出場しているレースもいくつかアップされています。しかし、ここでは自己ベストのレースと五輪の準決勝のレースを紹介するにとどめておきます。

 

2.2017年

40歳にして100m9秒台と五輪出場。これだけのことを成し遂げたコリンズですが、果たして2017年も走り続けるのか・・・

 

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御覧の通り、室内の大会に始まり、屋外のレースにも積極的に出場しています。しかしながら、その走りは精細を欠いているように見えます。

 

London 2017 Diaries: Kim Collins could retire at WC in London - RunBlogRun

 (2018年10月19日アクセス)

BASSETERRE (SKN): Kim Collins could retire at the World Championships in London this August, informs organisers. "I think London will be my last. My oldest son now is 19. The kids are growing. But it's been great for the younger generation as it shows that if you take care of your body, you can have a long-lasting career," he said. Collins will be 41 at the World Championships in London.

 

バセテールにてーキムコリンズは今年8月にロンドンで行われる世界選手権を最後に引退する可能性がある。

「ロンドンが私にとって最後の試合になるだろう。長男はもう19歳だ。ほかの子供たちも大きくなった。それでも、コンディションを整えれば長く競技をできることを、若い世代に示すことができてうれしく思っているよ。」コリンズは話した。コリンズは41歳でロンドンの世界陸上を迎える予定だ。

 

 以上のように、2017年になるとコリンズは引退を示唆するようになりました。

この年は調子が上がらず、結局世界陸上100mのスタートラインにコリンズは立つことが出来ませんでした。

 

このままコリンズは引退してしまうのか、続きは次回に。

 

3.まとめ

 2016年は自己ベストをマークし、オリンピックにも出場したコリンズ。しかし、2017年は衰えを隠すことが出来ないシーズンとなりました。

 

コリンズは、どのように競技生活の終わりへ向かっていくのか。

 

次回が最後です。

 

《参考資料》

100 Metres Result | IAAF World Championships London 2017 | iaaf.org

 

最終回はこちら↓

キム・コリンズ (Kim Collins)⑥ - 走者の記憶~The Reminds of Runners~